本記事では、スキャルピングを前提としたライントレード・板読み・歩み値の活用方針を整理します。
短期トレードにおいて「なぜそのタイミングでエントリーするのか」を明確にし、再現性のあるトレードルールを構築するための指針です。
Contents
基本コンセプト
即効性のあるエントリーのみを狙う
スキャルピングでは、エントリー直後に利益が乗ることが前提です。
エントリーから1〜3分経っても利益方向に動かない場合は、同値撤退(2〜3ティックの損切り)を目指します。
したがって、「すぐに利が乗りそうなポイント」にエントリーを絞る必要があります。
大口には順張り、小口には逆張り
大口の動きに逆らわないことが基本。
一方で、小口投資家が投げる局面では逆張りのチャンスが生まれます。
利益をロスカットに転じさせない
一度含み益になったポジションを損失にしてはいけません。
早利食いになりやすいですが、安定性重視のトレード哲学としてこの方針を徹底します。
ラインの引き方
ラインは「点」ではなく「エリア」で捉える
相場はピンポイントで反応するものではなく、「ゾーン」で意識されます。
複数の根拠が重なる**ライン群(エリア)**を見極めることが重要です。
ラインの優先順位
-
トラップライン(最重要)
-
フィボナッチライン
-
ピボットライン
① トラップライン:罠のラインを見抜く
トラップラインは、多くのトレーダーが含み損を抱え始めたポイントに引きます。
スイングハイ/スイングロー、ブレイクポイントなど強い値動きが出た価格帯を中心に設定します。
条件は以下の通り:
-
出来高を伴った急激な値動き
-
ブレイク後に多くの逆方向注文を巻き込んだ形跡
② フィボナッチライン:自然な押し目・戻りを捉える
目立つ高値・安値を起点に、フィボナッチ比率で反応しやすいラインを引きます。
とくに「38.2%」「50%」「61.8%」は反発・反落ポイントとして意識されやすい水準です。
③ ピボットライン:当日の節目を数値化
ピボットラインは以下の式で算出します。
pivot = (高値 + 安値 + 終値) / 3
support1 = (2 * pivot) - 高値
support2 = pivot - (高値 - 安値)
support3 = support1 - (高値 - 安値)
resistance1 = (2 * pivot) - 安値
resistance2 = pivot + (高値 - 安値)
resistance3 = resistance1 + (高値 - 安値)
ピボットはその日のバランス点です。
①トラップラインを必ず含み、②フィボナッチラインまたは③ピボットラインが重複する領域が最重要エリアとなります。
その他補助ライン
-
日足5日線 … 下値目途として重視
-
ブルフラッグライン … 当日形成された場合は参考に引く
これらを前日準備の一環として整理しておきます。
出来高のダイバージェンス
直近スイングで価格が更新されたのに出来高が減少している場合、
反転の可能性が高まります。
この現象は特にスキャルピングでの反発狙いにおいて重要なサインです。
インデックスとの連動と勢い判断
主要指標の確認ポイント
-
日経平均株価 → 先物の強さで判断
-
グロース指数 → 独自のtickシートを作り、アップティック/ダウンティックの差で強弱を測定
指数連動の強い銘柄では、これらを特に注視します。
グロースtickが**±100〜150/250程度**に達したときはクライマックスの可能性があり、
一時的な逆張りのチャンスとなります。
また、ポジション保有中の手仕舞い判断補助としても有効です。
板と歩み値の活用法
見せ板とアイスバーグ注文を見抜く
-
大きな板が消えたのに歩み値で約定がなければ「見せ板」
-
薄い板で小口約定が連続し、価格がリフレッシュされ続ける場合は「アイスバーグ」
ただし、少量の成行吸収では判定しない。
また、大口成行をアイスバーグが吸収している局面ではエントリーしないのが鉄則です。
板の厚みで心理を読む
-
高値圏:売り板が厚くなるのが自然
-
安値圏:買い板が厚くなるのが自然
これが逆の状態であれば、「ブレイクトラップ」の可能性を疑う必要があります。
価格を動かすのは「急いでいる側」
マーケットを動かすのは「買い急ぎ」か「売り急ぎ」です。
大口が急いでいる瞬間に便乗できるかがスキャルの勝負どころです。
歩み値の観察ポイント
1. スピード
歩み値のスピードアップは、リバーサルまたはブレイクアウトの前兆。
重要ライン接近時にスピードアップし、急に止まると反転の兆し。
2. サイズ
-
小口が勢いよく流れる → 逆張り
-
大口がまとまって出る → 順張り
大口が出た直後のエントリーでは遅いことが多く、「大口が来そう」と感じた瞬間に先に入る意識を持つ。
3. 主導権
大口の売買比率で市場の支配権を判断。重要ライン接近時に支配権が急反転する瞬間が、逆張りの好機です。
ベストパターンは、
「ラインを数ティック抜けた後に支配権が入れ替わる=失敗ブレイク」。
4. 攻防の結果
大口約定が連続しているのに価格がほとんど動かない場合、その方向についていくのは危険です。力が尽きたサイン。
5. やる気・あきらめ
-
薄い板をどんどん落として指値を奪回させない展開 → やる気あり(流れに乗る)
-
大口約定直後に同規模の反対約定 → あきらめのサイン(手仕舞い)
歩み値で反転(下げ→上げ)を読む流れ
-
小口売りがスピードアップ
-
大口買いが減少
-
歩み値がスピードダウン
-
bid板が落ちてもofferが積まれない
-
小さいofferがすぐ落ちるが、小さいbidは粘る
-
大口買いが連続して出る(※ここまで来たら遅い)
エントリー手順(歩み値とラインを組み合わせる)
-
意識しているラインに価格が近づくまで待つ
-
上記の歩み値変化(1〜6のうち2〜3項目で十分)を確認
-
エントリー
-
反発狙いでは「上げトレンド中のスイングロー下抜け」を狙う(小口のストップ狙い)
-
ブレイクアウト狙いはその逆
-
逆張りとブレイク狙いを同時にしない
ここまでを前日準備と当日の運用ルールに追加する。
銘柄選定と準備の流れ
上記の学びを反映して、銘柄選定ルールは下記のようになる。
基本的にボラティリティの高まりを重視する。ボラティリティがあれば出来高は自然についてくる。
板読みトレードの前日準備
・前日までトレードしていて感触がよかった銘柄
・100円~2000円台の銘柄(呼び値が1tickかつロットを増やしやすい)
・出来高10万~200万株で売買代金が急増している銘柄
・スプレッドが開いている銘柄
・グロース市場/スタンダード市場
・日足5日線より上にある
・直近のボラティリティが高い
・悪材料がない
銘柄を選定したらトラップライン、フィボナッチライン、ピボットラインをメモしておく。
板読みトレードの当日検索
・100円~2000円台の銘柄(呼び値が1tickかつロットを増やしやすい)
・SBIの売買代金急増ランキングを見る
・松井の上昇率下落率ランキングを見る(10分前比も活用)
・スプレッドが開いている銘柄を中心に扱うが、こだわりすぎない
・グロース市場/スタンダード市場
・日足5日線より上、あるいは近づいてきそうな銘柄
・直近のボラティリティが高い
・悪材料がない
・Xなどで話題になっている材料銘柄
当日の運用ルール
-
発注株数はしばらく 100株に固定。安定後に200、300株へ増やす
-
インデックスとの連動を意識して監視
- 厚い板には基本的に追従するが、出現時間などからフェイクである可能性を探る
- ロスカットはスピード重視:下値を叩いて即約定
-
引けトレードでは厚い買い板の確認を徹底
-
レンジ・サポートトレードはファーストリアクションのみ
- 重要ラインに接近した場面のみトレードを実行する
- 重要ライン付近ではチャートではなく歩み値と板の動きを注視する
-
まずは勝率と回転重視。
まとめ
ライントレード・板読み・歩み値の相互に補完しあう3要素をうまく融合させたトレードを目指します。